IRメッセージ

代表取締役社長 中村 栄輔

Q.2023年度の経営成績についてお聞かせください。

A.国内では経済活動の正常化により外食需要が回復してきましたが、円安の加速や、物価高騰により消費者の節約志向が強まるなど、まだまだ厳しい事業環境が続いています。このような中、当期は中期経営計画「Challenge & Support」の2年目として、引き続きお客様のニーズに合わせた商品の投入やマーケティング展開、地域に密着した店舗運営などを推進しました。
国内モスバーガー事業では、好評の「黒毛和牛バーガー」シリーズなどの期間限定商品を相次いで投入したほか、コロナ禍で短縮していた営業時間の延長や、予約販売の強化などに取り組みました。これらの施策が奏功し、2023年4月から2024年3月までの全月で、全店売上高と既存店売上高がともに前年同月を上回りました。また、期中に積極出店を実施し、期末の国内店舗数は前期比21店舗増の1,313店舗となりました。一方、海外事業では、コロナ禍後の商圏及び人流変化に合わせて、不採算店舗の閉店を含む積極的なスクラップ&ビルドを実施した結果、2023年12月末時点での海外店舗数は前年同期比1店舗増の456店舗となりました。
これらの結果、2023年度の連結経営成績は、売上高が930億58百万円(前期比9.4%増)と過去最高を更新し、営業利益は41億85百万円で増収増益となりました。特に各段階の利益は期初予想を大幅に上回る結果となり、前期は赤字となった最終損益も、25億73百万円の黒字に転換しました。期末配当につきましては、安定した利益還元を維持する方針から、引き続き14円(通期28円)とさせていただきました。

Q.各事業の取り組みと2024年度の事業計画についてお聞かせください。

A.まず、国内モスバーガー事業では、ファミリー層の強化に向け、「家族みんながワクワクする、モスらしい感動体験」を提供することをテーマに、“おいしさ”と“あんしん”にこだわった「MOS品質」を訴求するとともに、定番商品の強化などに注力しました。店舗運営においても、お客様との接点の量と質を徹底的に強化することを意識し、これまで未開拓だった都市部の住宅地に小型店舗を出店するなど、多様な立地に合わせた店舗づくりを進めています。また、セルフレジの機能強化やレジで並ばずに座席からスマホで注文できる「お席で注文」の試験導入、ネット予約システムの改善など、デジタル技術の活用も推進し、顧客満足度の向上とともに人手不足への対応にも注力しました。
モスブランドを活用した新たな事業としては、公式オンラインショップ内に2023年8月から「モスライス
バーガー専門店」をオープンし、海外モスのメニューをアレンジした新商品などを相次いで投入しました。今後も海外の人気商品や国内商品の復刻版、オリジナル商品などを開発し、ブランド価値の向上につなげるとともに、新たな収益源として育てたいと考えています。他社とのコラボ商品の開発にも引き続き注力してまいります。
海外事業については現在、コロナ禍からの回復に向けて収益性の改善に努めており、積極出店よりも既存店の回復を優先し、不採算店舗の閉店も進めています。この結果、出店地域は8つの国と地域となりました。今後も日本の食文化を大切にした定番商品に加え、現地の嗜好を取り入れたローカライズ商品も積極的に投入するなど、地元の人にも愛される、地域に根差した店舗展開に取り組みます。
その他飲食事業でも、事業環境はコロナ禍以前の状況に戻りつつあります。引き続き、商品力の強化やサービス品質の向上、テイクアウトやデリバリーの拡大などを推進し、既存事業の収益性改善と新たな付加価値の創造に努めてまいります。
なお、2024年度をゴールとした中期経営計画については、昨今の原材料高や円安影響などを鑑み、お客様へのサービス品質と従業員の適切な労働環境を維持するため、出店戦略を見直すなどして、目標数値は2023年度並みに修正しました。これを踏まえ、2024年度の連結経営成績については、売上高940億円、営業利益42億50百万円と増収増益を予想しています。

Q.サステナビリティへの取り組みについてお聞かせください。

A.当社グループはESGの観点から、①食と健康、②店舗と地域コミュニティ、③人材育成と支援、④地球環境、の4つをマテリアリティ(重要課題)として定め、事業活動を通じて社会課題の解決に貢献し、企業価値をさらに向上できるよう努めています。
具体的には、他社との共同輸送による物流の「2024年問題」への対応や、分身ロボットを活用したリモートによる接客の実験、働きがいのある組織づくりに向けた賃金の引き上げなどに取り組んでいます。今後も、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを強化することを目的に2022年に設置した「サステナビリ
ティ委員会」が中心となって、各取り組みを推進してまいります。

Q.株主の皆様へのメッセージをお願いします。

A.当社はこのほど、日頃のご支援に感謝を込めて、株主優待制度に「長期保有株主優遇制度」を新設しました。また、株主の皆様を対象とした「株主さま懇談会」においては、2023年度は初めての試みとして、東京にある当社オフィスで「株主さま会社見学イベント」を開催しました。こうした取り組みを通じて、当社グループへのご理解をさらに深めていただくとともに、長きにわたってサポートしていただけることを願っております。
少子高齢化によってマーケットの縮小や人手不足が進む中、ビジネスの持続性を維持するために必要なのは、アントレプレナーシップ(起業家精神)とイノベーション(ビジネスモデルの変革または創造)であると考えています。モスの強みは「おいしさ」「地域密着」「世の中の新」です。その強みの源泉である「感謝される仕事をしよう」という共通の価値観に、アントレプレナーシップとイノベーションを付加していくことが、持続可能な企業への第一歩と考えています。2024年は中期経営計画のスローガンである「Challenge &Support」を実践して結果を残し、持続可能な経営への道筋を示せるよう努めてまいります。
株主の皆様には、今後とも当社の事業活動に対するご支援とご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申しあげます。

株式会社モスフードサービス
代表取締役社長

中村栄輔