トップメッセージ

代表取締役社長 中村 栄輔

2024年度の経営成績についてお聞かせください。

A. 個人消費の持ち直しやインバウンド需要の拡大によって、国内の外食需要は回復基調にあります。一方で、原材料やエネルギー価格の高止まりなどによって、依然として先行きは不透明な状況が続いています。このような環境の中、2024年度は「Challenge & Support」を中期スローガンとした中期経営計画の最終年度となり、多くの成果を上げることができました。
主力の国内モスバーガー事業は、既存店の売上高・客数・客単価がいずれも前期を上回るなど、概ね好調に推移しました。消費の二極化への対応として、商品価格帯のグラデーション化を推進し、レギュラー、プレミアム、超プレミアムの価格帯のラインアップを充実させたことで、より幅広い顧客層の獲得につながりました。期末の国内店舗数は前期比8店舗増の1,321店舗となりました。また、収益性重視の意識徹底と販管費抑制に加え、在庫回転率向上による資金効率化、物流効率化による商品管理コスト抑制にも注力しました。
これらの結果、2024年度の連結経営成績は、売上高961億85百万円(前期比3.4%増)、営業利益52億23百万円(前期比24.8%増)、経常利益55億69百万円(前期比26.8%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は31億50百万円(前期比22.4%増)となりました。期末配当につきましては、株主の皆様への利益還元をより一層充実させるため、前期末より1円増配し15円、通期では2円増配の30円といたしました。

各事業の取り組みについてお聞かせください。

A. 国内モスバーガー事業では、マーケティング方針として「和ごころエンジョイ」を掲げ、お客様からの支持拡大と売上増に努めました。とくに好調だったのが新カテゴリーとして2024年3月に投入した「新とびきり」シリーズです。手軽に食べられるプレミアムバーガーという商品コンセプトが支持され、販売開始からわずか1年でシリーズ累計1,600万食を突破しました。このほか、「一頭買い 黒毛和牛バーガー〜山わさび醤油(しょうゆ)仕立て~」においては、新たな顧客層へのアプローチを試みました。
モスブランドを活用した新たな事業の展開としては、公式オンラインショップ内で、海外の料理をヒントに開発したモスライスバーガーの新商品を発売するなど、商品ラインアップの充実を図っています。また、新たな販売チャネルの開拓に向けて、当社監修商品を他社の販売チャネルに乗せることにも挑戦しています。今後もこうした取り組みを拡大し、ブランド価値の向上とともに、新たな収益源に育てていきたいと考えています。
海外事業については、セグメント利益の黒字化を達成しましたが、さらなる成長のため、現在、不採算店舗の閉店や既存店の改装、管理コストの抑制といった収益性改善に取り組んでいます。これらの取り組みにより、2024年12月末の海外店舗数は422店舗となっています。出店エリアはアジアを中心とした6つの国と地域です。
その他飲食事業においては、「カフェ山と海と太陽」と「MOSDO!」をそれぞれ関東に新規出店したことに加え、不採算店舗の整理や商品力の強化、サービス品質の向上を図り、収益力の改善に取り組みました。

今後の事業計画についてお聞かせください。

A. 2022~2024年度の中期経営計画では、基幹事業である国内モスバーガー事業において、顧客との接点の質と量の徹底的な強化策として、積極的な出店に取り組みました。その結果、長年減少傾向にあった店舗数を純増トレンドに転換し、この回復基調が奏功し、2年目以降の黒字転換につながりました。
これらの成果を踏まえ、中期スローガン「アントレプレナーシップ&イノベーション」を掲げ、2025~2027年度を対象とする新たな中期経営計画を策定しました。今後3年間を、環境変化に適応し、新しい提供価値を生み出し、浸透していくための期間と位置づけ、 “「MOS BURGER」から、さまざまな価値を発信するブランド「MOS」に進化する” など2つの中期経営方針を掲げました。国内モスバーガー事業では、モスの提供価値を改めて見直し、3年間毎年、既存店売上高を5%成長させることを目指します。海外事業では前計画において構造改革がかなり進展したことを受け、今後は既存の出店エリアの立て直しなどにも取り組みます。また、グループ全体での取り組みとして、人的資本経営を推進し、未来に向けた適切な投資を大胆に実施していくことも盛り込みました。
連結業績目標として、最終年度の2027年度に売上高1,080億円、営業利益63億円、ROE6.6%などの達成を掲げました。計画初年度となる2025年度連結経営成績については、売上高970億円、営業利益52億50百万円と予想しています。

株主の皆様へのメッセージをお願いします。

A. 私たちは今、少子高齢化の影響により、深刻な人手不足と国内市場の縮小という厳しい現実に直面しています。この困難な時代を乗り越え、モスバーガーのビジネスを永続させるためには、変革への挑戦が不可欠です。新たな中期経営計画のスローガンとして掲げた「アントレプレナーシップ&イノベーション」は、それぞれ「企業家精神」と「ビジネスモデルの改善・改良・改革」を意味します。この二つの力を最大限に引き出すことこそが、困難な時代を乗り越え、モスバーガーが創業以来大切にしてきた「どうせ仕事をするなら、感謝される仕事をしよう。」という精神を、現代において実現するための道であると確信しています。
モスバーガーが最も大切にしていることはお客様の笑顔であり、お客様の喜びこそがモスバーガーの原動力です。そのために私たちは常に最高の品質とサービスを追求してきました。これからもこの気持ちを原点として、変化を恐れず、未来へと進んでまいります。
株主の皆様には、今後とも当社の事業活動に対するご支援とご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申しあげます。

株式会社モスフードサービス
代表取締役社長

中村栄輔